承久本には2度、雷神が雷を落とすシーンが描かれています。これはその最初のほう。
元ネタは『大鏡』時平伝です。
道真が死して神となり、清涼殿に雷を落とそうとした時、
左大臣時平は太刀を抜いて仁王立ちになり、虚空に向かってこう叫びました。
「生前でも私の下座だったでしょうが!
たとえ神になられても、この世では私に遠慮するのが筋です!」
この言葉に一度は雷も収まりましたが、時平が偉いのではなく、
道真公が臣下としての秩序を示しただけの事だとか。
時平と道真の直接対決を描いたこの話、実は全くのフィクションなんです。
清涼殿が被災して死傷者が出たのは930年6月26日の一度きり。
どこでしたか、
「雷の鳴る最中に太刀なんか抜いたら、格好の避雷針になるだろう」という
ごもっともなツッコミを読んだ時は、思わず笑ってしまいました。