これは必見!(その18) 

2「銀装革帯」

道真の遺品とされる革製のベルトです。何と革の部分まで残っています。
飾り部分は、銅を銀でメッキし、水晶をはめ込んだもの。

硯同様、これも中国からの輸入品です。
現代の日本人なら、フランス製の品々で身の回りを固める感覚なんでしょうね。

銀装革帯

(写真提供:九州国立博物館)


国宝だけあって、復元品が存在します。そうなりますと……。
「巻いてみたら、道真のウエストサイズが分かるのでは?」
そう考えて実際に巻いた人がいます。

この人が誰かは少しうろ覚えなんですが、
「ふくよかではないけれど、細身とは言えない中年男性」だと
書いておきましょう。道真さん、人並みにメタボ入っていたのですね……。

家政婦は語る!? 

音声ガイドは日本一有名な家政婦……ではなく、市原悦子さんです。
菅原家の内幕を暴露するわけではないので(笑)、
日本昔話をイメージして聞いて下さい。

承久本「北野天神縁起絵巻」や道明寺の十一面観音立像(両方とも国宝)など、
有名どころは物語調で、説明も少し長めです。
話のネタに借りてもよいのではないでしょうか。

しかし、「18歳で難関の国家試験に合格し」というのは、
「26歳」の間違いではないでしょうか?(原稿の問題)
18歳での文章生(もんじょうしょう)選抜試験合格は最年少タイ記録ですけれど、
26歳で受験・合格した方略試(ほうりゃくし)は
「約230年で道真含めて合格者65名」という難易度を誇りますから。
しかも漢文による論文試験。

試験問題・解答・評価の3点セットが揃う貴重なケースなのに、難しくて読めません。

それなのに試験官に論理展開の甘い部分や誤字を指摘され、
道真さんは少なからず不機嫌になったのでした。(これはホントの話)

天神さま検定 

色モノの一環として、「天神さま検定」が会場内に掲示されています。

天神さま検定・問題と解答

(写真提供:九州国立博物館)


3択全10問。そんなに難しいものではない……かな?
「和歌」を「俳句」と書いていた箇所があったので、訂正してもらいました。
地元民でもないのに、天拝山の標高を即答できる自分がイヤだ。

どういう訳か、解答まであちこちにあります。
問題見てすぐ答え見る流れは、試験本番ではありえない話ですよ〜。
展示品を良く良く見れば解答が分かる、という問題設定が理想なんですけどね。

全問正解で「右大臣」。
「え、『贈太政大臣』じゃないの?」と本気で思いました(笑)。

確かに生前は右大臣止まりでしたけれど、
没後に怨霊慰撫対策で官位の追贈が繰り返されたので、
最終的には最高位の正一位太政大臣にまで達しているんですよ。

3問以下ならさしずめ「文章生(もんじょうしょう)」でしょうか。

これは必見!(その17) 

52・55・61「束帯天神像」 (55:〜10/19、52・61:〜10/26)

道真=天神の肖像画のスタンダード、
束帯天神(そくたいてんじん)の鑑賞方法の話です。

束帯天神

(写真提供:九州国立博物館)


平安貴族である道真にとっては、束帯こそいたってオフィシャルな格好ですが、
描き方に一定のルールがあるのです。
すなわち、「憤怒の感情を仕草のはしばしに忍ばせる」。

具体的には、以下のような仕草で表現されています。
「眉をしかめる」
「口を軽く開き、食いしばった歯をのぞかせる」
「左手に持つ笏(しゃく)を、右手で上から押さえつける」

55(中央)はこの構図を踏まえた典型的な例で、
さらに目を大きく見開いています。
残念ながら今回は出ませんが、
道真像として広く知られる北野天満宮の「根本御影」にしても、
よく見ると眉根が寄っていたり、まなじりを決していたりするのです。
京都国際文化交流財団による写真を思い切り拡大すると良く分かります。)

52(右)は荏柄天神社の「雲中(うんちゅう)天神」と呼ばれるもの。
落雷の最中に天から落ちてきた天神画像がこの図柄だったという事で、
雲に乗って立つ姿を描いた、珍しいものです。
会期後半には、この巨大バージョンが出ますので、乞うご期待。
(その際は、ちょっと面白い昔話も出す予定です。)

61(左)は岡山県立美術館が所蔵する、雪舟等楊の筆によると伝えられる一品。
松と梅の間に座らせるという、独特の構図で描かれています。
ちなみに、山口県立美術館の特別展「雪舟への旅」では
渡唐天神像も展示されました。
こちらは彼の出身地である岡山県総社市の「広報そうじゃ」の連載
「雪舟逍遥」第11回(2007年2月)(PDF版もあり)で見られます。

これは必見!(その16) 

48「天満宮縁起画伝(満盛院本)」 (〜10/19)

天神縁起には、大きく分けて「文字だけ」「文字と絵(=絵巻)」
「絵だけ(=掛幅)」の3パターンがあります。

掛幅は、その名の通り壁に掛け、絵に描かれた内容を横に立って説明するもの。
内容に沿って細かくコマ割りされています。
絵巻よりも大勢の人を相手にできるメリットがありますが、
パワーポイントとレーザーポインターを使うようなものなんでしょうか?

天満宮縁起画伝・満盛院本

(写真提供:九州国立博物館)


こちらは全部で8巻もあり、コマ数も非常に多いです。
「川面に姿を映す道真」「ナマズを退治する道真」など、
福岡ならではの話も追加されていますが、読み解けないものもちらほら。
さすがの味酒さんも、完全読解は不可能との事でした。
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