52・55・61「束帯天神像」 (55:〜10/19、52・61:〜10/26)
道真=天神の肖像画のスタンダード、
束帯天神(そくたいてんじん)の鑑賞方法の話です。
(写真提供:九州国立博物館)
平安貴族である道真にとっては、束帯こそいたってオフィシャルな格好ですが、
描き方に一定のルールがあるのです。
すなわち、「憤怒の感情を仕草のはしばしに忍ばせる」。
具体的には、以下のような仕草で表現されています。
「眉をしかめる」
「口を軽く開き、食いしばった歯をのぞかせる」
「左手に持つ笏(しゃく)を、右手で上から押さえつける」
55(中央)はこの構図を踏まえた典型的な例で、
さらに目を大きく見開いています。
残念ながら今回は出ませんが、
道真像として広く知られる北野天満宮の「根本御影」にしても、
よく見ると眉根が寄っていたり、まなじりを決していたりするのです。
(
京都国際文化交流財団による写真を思い切り拡大すると良く分かります。)
52(右)は荏柄天神社の「雲中(うんちゅう)天神」と呼ばれるもの。
落雷の最中に天から落ちてきた天神画像がこの図柄だったという事で、
雲に乗って立つ姿を描いた、珍しいものです。
会期後半には、この巨大バージョンが出ますので、乞うご期待。
(その際は、ちょっと面白い昔話も出す予定です。)
61(左)は岡山県立美術館が所蔵する、雪舟等楊の筆によると伝えられる一品。
松と梅の間に座らせるという、独特の構図で描かれています。
ちなみに、山口県立美術館の特別展「雪舟への旅」では
渡唐天神像も展示されました。
こちらは彼の出身地である岡山県総社市の「広報そうじゃ」の連載
「雪舟逍遥」第11回(2007年2月)(
PDF版もあり)で見られます。